小学校プログラミング教育はいつから必修化?何年生から学ぶの?
2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化されプログラミング学習の注目度や認知度も高まってきています。
しかし、
「小学校に入学したのにまだプログラミングはやっていない・・・」
「○○さんの学校では、習っているらしいけど・・・」などと、疑問に思われたりしていませんか?
私も小学校のプログラミング授業の 臨時講師を行いましたが、何年生からどのようなことを学ぶのかという具体的な内容が、学校内で明確に浸透していないのが現状です。
学校 | 年度 | 改訂点 |
小学校 | 2020年 | プログラミング教育が必修化 |
中学校 | 2021年 | 「技術・家庭」の技術分野の授業でプログラミングに関する内容を倍増 |
高校 | 2022年 | 共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」を必須 |
このように、学習指導要領(平成29年)3月31日に改訂に伴い、プログラミング必須化が決まっています。この方針から、プログラミング教育に関する疑問をまとめてみました。
-Contents-
プログラミング教育は、いつから始まるの?
結論からいえば、遅くても4年生からはプログラミングに触れることができます。
プログラミング教育は必修化しますが、教科は新設されません。
プログラミングは、これまでの授業で学ぶツールとして利用していくことが求められています。そこで、文部科学省が公表している「小学校プログラミング教育の手引き」では、指導を実施するものとして記載されている次の4課題が紹介されています。
学年 | 科目 | 内容 |
3~6年生 | 音楽 | 様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラ ミングを通して学習 |
4年生 | 社会 | 都道府県の特徴を組み合わせて、名称と位置を学習 |
5年生 | 算数 | プログラミングを通して正多角形の意味を把握し、その理解に基づき正多角形を描く学習 |
6年生 | 理科 | 身の回りに電気の性質を利用した道具があること等を、プログラミングを通して学習 |
つまり、4年生からは社会の授業で、プログラミングを体験できるということです!
また、これらの学習の他にも「総合的な学習」としてプログラミング学習指導例が掲載されています。
また、文部科学省・総務省・経済産業省が中心となって運営している「未来の学びコンソーシアム」では、小学校でのプログラミング学習の学習事例が紹介されています。
さらに「未来の学びコンソーシアム」を見ると、低学年でも学習を行っている学校があることが分かります。
- 3年生(音楽):動物がおどるリズムやリズムループを作る学習
- 2年生(国語):主語と述語を組み合わせる学習
このように、2年生から始めていることも公表されています。さらに、1年生から取り組んでいる学校も多いとよく聞いています。
各学校によってプログラミングに触れ始めるタイミングが違っているというのが現状です。
- 遅くても4年生からはプログラミングに触れられる
- プログラミングは各授業に取り入れられて学んでいく
- 学校によっては低学年からいろいろなことを学んでいる
特に、公立・私立では差が出てしまう傾向があるようです。他の学校の子どもに思考力の差が付けられないように、学校の取り組むのを待つだけでなく自ら何か取り組む必要がありそうですね。
プログラミング教育必修化は中学校へ進む
学習指導要領(改訂)では、小学生でプログラミング的な思考に親しんだら、中学校では実際のプログラミングを組む授業へと発展させていきます。
中学校でもプログラミング教育が、2021年度から全面実施されています。
中学校でのプログラミング教育は、「技術・家庭」科目の「技術」分野において実施されます。
(参照元:中学校学習指導要領(平成29年告示)|文部科学省)
実は改定前の学習指導要領でも「技術」の科目の中にプログラミングに関する内容が含まれていました。今回のプログラミング教育必修化では内容を深めたものになります。
この目的も多々ありますが、「ITに抵抗感なく取り組める人材の育成に役立て、さらなるIT化に対応してくこと」が一番の目的です。
従来のプログラミング教育では、ソフトウェアを使って生徒が簡単なホームページを作成するなど、先生から生徒への一方向的な指導でした。そのため、生徒は受け身なであったためITの活用にとどまっています。
これからの授業は、ネットワークの活用に重点がおかれます。ネットワークは、コンピューターで行われる双方向の通信のことです。
つまり、生徒がコンピューターに働きかけを促進して、生徒と先生の双方向的のやり取りが重要と考えられています。
このように中学校では小学校に引き続き、プログラミング的思考力が重視されています。
ステップアップした技術的な面にも重きを置き、コンピューターを用いた活動が強く求められます。
ただ、中学校でもプログラマーの育成を目標としているのではなく、体験を通して現代社会で使われている技術に対する理解を深め、「生きる力」を身につけることが目的です。
- 「技術・家庭」科目の一部として実施
- さらなるIT化に対応する人材育成が目的
- 授業形態が、一方的な授業から、双方向的のやり取りへ転身
プログラミング教育必修化で保護者が準備するものは?
プログラミング教育必修化にともなっても、ご家庭で準備するモノ(物)はありません。
必要なものは全て学校側が準備します。
ですが、将来のことを考えて、各自でSTEM教育に取り組んだり、プログラミングを学ぶことは、とても意義のあることです。
なぜなら、学校教育でのプログラミング教育は指導者の育成やカリキュラムが未だ手探りで行なわれているため本来の目的が達成される教育体制が整うには時間がかかる可能性があるからです。
各自で取り組むことで、プログラミング的思考が身につき、子どもが将来役立つ能力を手にでき、仕事だけでなく様々なことに影響が出てきます。
基本的な内容は学校で教わることなので、家庭で用意するモノや勉強しなければならないものはありませんが、スクールや独学で学ぶことは有意義なことです。
時間があれば、プログラミング体験教室などに参加すると、学びのイメージは湧きやすいと思います。
- 家庭側が準備するモノ(物)はない
- 学校側の教育体制が整うには時間が掛かる(かもしれない?)
- 各自の取り組みが、子どもの将来を変える
プログラミング教育というものは、STEM教育の一角です。そのため、STEM教育を意識することで、プログラミング的思考力の幅は広くなります。
子供が学校のプログラミング教育についていけるか確認
実際に、小学校の授業でプログラミング教育の授業についていけるか否かを不安はありますよね。
「プログラマーになるためには何年生から学ぶべき?」
「プログラミング学習は低学年の子供にはまだ早いかな?」
などの不安は必要はないのです。
学校側も、以下の2つポイントを考慮して授業を行っていきますので大丈夫です。
- 小・中学校でのプログラミング学習は専門的なコードの記述や難しいPC操作を必要とする学習は行わない
- PCにあまり触れたことのない小学校低学年の子供でも、ビジュアルプログラミング言語やプログラミング学習ツールを使ってマウスの操作のみで視覚的に学習できる
小学校の授業でプログラミング教育で不安を与えるような難しい事は行いませんので、安心してください。
授業時間外でも、無償公開されている「スクラッチ」(プログラミング言語の教育ソフト)などを活用すれば、楽しみながら慣れ親しめると思います。
プログラミング的思考を鍛える
子どもが通っている小学校でプログラミング教育のスタート時期が遅ければ、いつまでもプログラミング的思考が理解できませんよね。
文部科学省は、プログラミング言語の指定はしていませんが、一例として次のようなビジュアル言語が使われています。
なかでも、Scratchは教材用に開発された言語でもあり、多くの小学校で扱われています。
どんなことやるのか気になる。 少しでもそう思った方は、ネット上でも無料で簡単に勉強できるようになっています。
参考までに、多くの小学校のプログラミング教育で使われている2つプログラミング言語の公式ページのリンクを添付させていただきます。
無料インストール
家にネット環境さえあれば、簡単に使えるサービスですので試してみてはいかがでしょうか。
成績評価には基本的に影響しない!
プログラミングの理解が成績に直接影響することはありません。
各教科にプログラミングが導入されても、評価は教科の学習状況で決まります。
ただ、プログラミングを頑張ったことで教科の理解が深まる、意欲的に取り組めるということは考えられます。
プログラミングという科目が作られるわけではない
必修化といっても、プログラミングを扱う新しい教科ができるわけではありません。
そのため、教科書もなく、試験で評価されることもありません。
理科(物質・エネルギー・電気)、算数などの単元が、学習指導要領に例示されていますが、多様な教科、学年、単元等において実施します。
例えば、
理科で「電気を効率良く使うにはどうしたら良いのか」という疑問の場合、感知センサーなどを用いて電気の働きを自動的に制御することで、より確実に電気の無駄遣いを減らすことかできる。
算数では、プログラミングを用いて多角形を描くといった課題などがあります。
これらの学習指導要領に例示さているもの以外にも、教科とは別に取り入れることもあります。
既存の科目を学習する手段としてプログラミングの体験をしていくので、プログラミングという科目が作られるわけではありません。
教育環境や教員の知識不足には不安も
小学校だと担任が授業しますが、プログラミングは教えられるのでしょうか?
文部科学省は、各学校に最低1人、プログラムに理解がある教員を用意するようにお願いしています。
とはいえ、実際の対応は、教育委員会をはじめとする各教育団体に委ねているのが現状です。
プログラミング必須化は2020年に始まりましたが、国内の教育団体1746団体すべてが「プログラミング教育の準備ができている」状況ではありません。
この整っていない学校は臨時講師等に助っ人に入ってもらって対応しています。
もちろん、小学校では技術的・専門的な教育は目的としていないため、数年で環境は整えられるでしょう。(整えられると期待しています)
しかし、プログラミング教育は小・中・高で拡充されますので、小学校の段階での不安以上に、中学・高校での教員の不安が高まっています。
大人がしっかりと勉強して、教えれる環境をつくることが望まれます。
プログラミング教育が大学受験に影響するようになる
政府は未来投資会議で、大学入試センター試験に代わって、2024年から導入される「大学入学共通テスト」に、プログラミングなどの情報科目を導入する方針示しています。
これは、文理系問わずに情報教育の基礎を習得させることで「第4次産業革命」の牽引役となる国内のAI人材の育成を期待してのことです。
すでに、慶応義塾大学・総合政策学部・環境情報学部は、情報での入試選抜を行なっています。
私立中学の入試では、すでにプログラミングを活用したものが増えています。
これからの時代、受験対策として、学校以外でプログラミングを学ぶことも必要になりそうです。
「高校・大学受験の際にプログラミングが受験科目になるの?」
「受験対策のためにはプログラミング学習をしないとダメなの?」
小・中学校でプログラミング教育が必修化されたことで、こんな不安や疑問を持たれている保護者の方もいらっしゃると思います。
今回の学習指導要領は本年(平成29年)3月31日に改訂では、プログラミングという科目が新設された訳ではありませんので、高校受験への影響は限定的でしょう。
しかし、高校からは、情報化Ⅰが必須になるため、大学受験に関してはプログラミング的思考が不可欠となってくる可能性は高まります。
これらのことを考えると、大学受験にも必要な知識として勉強しておく必要はあるでしょう。
- 2024年大学入学共通テストからプログラミングなどの情報科目を導入
- 高校受験への影響は限定的
- 大学受験に向けて高校だけでなく、小・中からの準備は大切
プログラミングは受験対策だけでなく将来への準備
プログラミング的思考を元に論理的思考力を身に付けると、容易に物事を組み立てれるようになり、物事の本質をとらえることができるようになる素晴らしい武器になります!
まとめ
公立の小学校では、4年生からは学べることが分かりました。
プログラミング的思考は生きる上で大きな武器になります。
これからの時代を生きていくうえで、学校の授業だけに任せるよりも自ら積極的に学ばなければいけません。
大学も、そのような積極的な人材だけを受け入れる時代になります。
ここまで読んでいただきまして、有難うございました。
最後に、21世紀を築く子どもを愛する親御さんへ、私が尊敬する宮沢賢治の言葉を添えてペンを置くことにします。
「からだに刻んで行く勉強が、まもなくぐんぐん強い芽を噴いてどこまでのびるかわからない、それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ」
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